夏休みの研究発表は途中ですが、昨日面白い事がありまして。
息子連れてはぜ釣りに行ったのです。
天気もよくて心地よい海風に吹かれながらのお昼寝にはうってつけでした。
竿も一本新調してやりました。息子はぴかぴかの釣り竿を握りしめてやる気満々です。
仕掛けにエサをつけて岸壁から投げ入れ、息子に竿を渡して父は言いました。「ぴくぴくっと引いたら竿をあげるんだぞ」と。息子「うんわかった」と。
しかしながらというか案の定と言うか、もうすぐ6歳になる我が家のわんぱくボウズには、糸を垂らしてじっと待つなんてお上品な芸当はできるわけもなく、「釣りの仕掛けをたらしては引き上げてからませる」という一連の動作を延々とくり返してくれるわけですよ。
エンドレスにくり返される、からんだ釣り糸との格闘にデジャブを感じながら、普段は温和な父と母もいらだちを隠せません。
ついに許容点を超えた父が息子を呼びつけました。
「いいですか、よく聞いてください。ハゼは水の中にいます。ハゼを捕まえたかったら針にエサをつけて水の中に入れなければいけません。
それなのに、君はすぐにエサを引き上げて糸を絡ませてしまいます。その間、針のついたエサは水の中にはありません。さて、魚は釣れると思いますか?」
「釣れない。」
私の懸命な説得に息子もようやく納得してくれて、それ以降はからませ頻度はいくらか減りました。いくらかですが。
まあぶっちゃけた話、全然釣れなかったので息子も飽きてしまい、母子は浜辺の方にしばし遊びにいってしまいました。
私はと言えば、さあ静かになった、お昼寝しよう。
どうせ日中は釣れませんので。
夕方頃ふたりが戻ってきまして、場所を変えて再度釣り始めました。
息子はもうカニ釣りの方に興味がシフトしていて、なんか叫びながら護岸の割れ目に隠れているカニとのバトルを楽しんでいました。
そのうちに「お父さん〜ちょっと〜っ!!、なんか飛んできた〜〜〜!!!!」
でっかい声で叫びます。
わたしは「はいはいーあ〜〜〜うるせ〜〜〜」とスルーしてたのですが、ヤツの大声としつこさには定評があります。
母が根負けして見に行くと、「あ〜これハゼだっ!あっはっは〜〜〜」と。
なんと水中にいらっしゃるはずのハゼさんが、なぜだか陸上の息子の眼前にいらっしゃるではないですか!
私曰く、『エサのついた針を水中にたらさなくては捕まえられない』はずのハゼさんがですよ。
そこで私はハッとしてしまったのです。「ああなんと私の固定概念は狭いんだーー!!」
息子は針を水中にたらすことなく、見事ハゼをゲットしてしまったのです。
そのことによって、ガチガチに凝り固まった私の世界観をがらがらりと打ち崩してくれちゃったのです。
ほんとに「目から鱗。」魚釣りだけに。とか余計ですか。
普段から子供に「もっと頭を柔軟に使おうぜ」とかえらそうに言ってお恥ずかしい。この場を借りて謝罪します。
私のちっぽけな価値観で子供の無限の将来性を奪ってはいけないなと痛感した夏の午後なのでした。
思い返せば、小座布団サイズのエイが数匹泳ぎ回っていたのですよ。命の危険を感じたハゼさんは陸へと逃げてきたのかもしれませんね。
結果的に入る胃袋が違っただけというオチですが。
ハゼさんのいのちは息子が責任を持っておいしくいただきました。ごちそうさまでした。
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